平成27年度~28年度の活動概況
領域が目指す教育プログラム、人材育成、雇用創出
人口減少社会の到来、超高齢化という課題の中で、地域が活力を取り戻すためには、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することが求められます。価値観が多様化し、地域課題が複雑化する中で、新たな解決策やその手法を生みだすために、従来の枠組みを超えた、産学公連携の推進によってイノベーションを創出する場作りを行います。同時に、地域における市場開拓等の事業化プロセスをデザインできるアントレプレナーシップを兼ね備えた人材の育成を進め、新たな雇用を創出します。
平成27~28年度活動概況
平成27~28年度は、活動開始時期の年度として、今後本格実施に向けて骨格となりえるモデル事業の立ち上げに注力しました。事業推進に当たっては、①教育カリキュラム開発事業、②キャリア教育事業、③インターンシップ事業、④人材マッチング事業、⑤情報交流・人材交流事業の5分野にわたり推進しました。
地域に貢献できる人材育成と若者の地元定着に資する、教育プログラムの整備・開発と地元就職支援・雇用創出につながる事業を検討・試行し、様々な活動主体が相互作用・相互補完によってイノベーションを創出する仕組みづくりに取り組みました。
活動詳細
(1)教育カリキュラム開発事業
兵庫県の多様な地域課題にこたえ、領域ごとの実践力を養うために、「イノベーション」領域のテキスト作成に着手しました。大学1年時の共通科目や専門科目の初年次教育、および一般市民を対象にして作成します。これまで企業戦略論として語られることが多かったイノベーションを、本テキストでは地域づくり、まちづくり、社会づくりという視点からとらえなおして論じていきます。
(2)キャリア教育事業
兵庫県内で事業活動を営む地方公共団体や企業などから経営者・事業責任者・若手社員などを招き、その方々から直接企業の状況を聞き、その企業の活動を知るとともに、学生が地域でのキャリア形成がどのようなものかを考え、地元でキャリアを形成する意味と魅力について理解を深めてもらう教育プログラムを立ち上げました。
事業展開においては、学部1年生/学部2~4年生/大学院生の3つの段階別に、キャリアデザイン形成を支援する授業を実施しました。
①学部1年生を対象「基礎ゼミナール」(キャリア教育の導入を図る)
学生が、地元食品会社の商品のパッケージ・デザインや販売方法を
提案することを通じて、兵庫県内の中小企業の実態の理解を深め、
地元企業に対する就業意識と実務能力(市場調査・プレゼンテー
ション・レポート作成など)の向上を目指す授業を開講しました。
②学部2~4年生を対象「地域キャリア論」(地域でのキャリアを考える)
「地域キャリア論」では、地域の有力企業を中心にした地域でのキャリア
形成について学生に考える機会を提供するとともに、それらの企業の
業務内容や魅力について紹介しました。
金融機関、商社、メーカーなど様々な業界で活躍している人たちの
キャリア形成について学ぶことにより、学生が幅広い視野を持つことを
目指しました。
③大学院生を対象「実践リーダーシップ」(地域の経営者のキャリアを
考える)
8人の地元製造業の大手企業や中小企業の経営者に登壇して
もらうオムニバス形式の授業を開講しました。地元企業の経営者に
よる講義や演習を通じて、企業経営の実態を把握するとともに、
地域で経営者がキャリアを形成する意味と魅力について、学生が
理解を深めることに取り組みました。
(3)インターンシップ事業
兵庫県内には業界を牽引する優良な中小企業が多数あり、学生が
インターンシップを通じて、企業の沿革・経営理念・経営方針・経営者の
志を知ることで、県内の中小企業に対する就業意識のイノベーションを
創発することを目指します。
①学生のニーズ調査の実施
平成28年度は、学生のインターンシップ活動に対してどのような
サポートが必要か、学生のニーズを把握するために、学部3年生を
対象にして現状把握のためのアンケート調査とインタビュー調査を
平成29年1月に実施しました。その調査結果を、今後のインターン
シップ事業に活かしてまいります。
②県内中小企業の動画データベースづくりへの取り組み
学生が地元の中小企業を知る機会を作っていくためには、中小
企業を紹介するためのデータベースが必要です。若者と
県内中小企業とのネットワークを構築することと、中小企業における
若年者雇用創出を実現するために、学生が実際にインターンシップに
参加してみたいと思えるような県内企業10社の社長と社業を紹介する
動画を平成29年2月に作成しました。
(4)人材マッチング事業
理系の学生を対象に兵庫県内のものづくり企業10社の工場見学を、
平成28年12月と平成29年2月に実施し、産学公連携の組織・団体や
関連企業との人材マッチングの事業を展開しました。学生に県内
ものづくり企業の技術革新によるイノベーションを体感してもらい、
自己の研究意識と県内企業に対する就業意識の変革につながることを
目指しました。
(5)情報交流・人材交流事業
平成28年1月30日に、産学公連携組織である地域経済団体と
その会員企業の協力を得て、地域に求められるイノベーション人材の
育成等を検討するイノベーション推進協議会を開催しました。
また同日、「イノベーション」領域での先進的な研究等の発表を行う
ことで県内企業等と先導的な成果の共有を図ることと、実社会での
即戦力となり地域社会に求められる人材を育成するための学びの場や
人材・情報交流の場を提供するために、産学公人材イノベーション関連
シンポジウム「企業の社会貢献と地域経済の持続的発展-
環境・社会貢献・ガバナンスのイノベーションによるサスティナビリティの
視点」を、平成28年3月26日と12月10日に医療・介護イノベーション
セミナーを開催しました。